ヤシャゲンゴロウの繁殖研究

ヤシャゲンゴロウの生息域外飼育

飼育日誌はこちら(PDFファイル)をご覧ください。

ヤシャゲンゴロウの生体展示はこちらをご覧ください。

ヤシャゲンゴロウ生息域外保全事業

 ヤシャゲンゴロウは、コウチュウ目ゲンゴロウ科の昆虫です。本県の夜叉ヶ池(南越前町)のみに生息する日本固有種であるため、環境省により国内希少野生動植物種に指定されています。平成17年からは保護増殖計画が策定され、生息域外保全の取り組みが始まりました。

夜叉ヶ池

 夜叉ヶ池は本県南越前町の岐阜県との県境付近、標高1,099mに位置する小さな池(面積0.36ha、最大水深7.7m)です。周囲の地形を見ると流入する河川はなく、直接池に降り注ぐ雨や雪と周囲のブナ林の土壌からの地下水で維持されていると考えられています。夜叉姫伝説など多くの伝承の舞台としても知られています。

夜叉ヶ池

ヤシャゲンゴロウの生活史

 6月はじめ頃、夜叉ヶ池の岸辺の朽木やコケの隙間に産み付けられた卵から孵化した幼虫は成虫とは似ても似つかない姿をしています。幼虫は水中を泳ぎまわり、ミジンコや小さなオタマジャクシなどを食べて大きくなります。夏、2回脱皮し大きくなった幼虫は岸に上がると器用に土を使って繭を作りその中で蛹になります。そして秋には成虫としてまた池に帰ってきます。成虫は池に落ちてきた昆虫を中心にカエルやイモリ、鳥の死体など動物性のものならば何でも食べます。冬は夜叉ヶ池とともに数メートル積もる雪の下で眠りにつきます。春、冬眠から覚めた成虫は交尾し、岸辺に卵を産み付けます。
 ヤシャゲンゴロウはこうして隔離された池の中で世代をつないできました。しかし、登山者・観光客の増加による水質汚濁が懸念され、絶滅危惧種に指定されています。

 

 そのほか、ヤシャゲンゴロウの生態や夜叉ヶ池についての詳細は近畿中国森林管理局福井森林管理署のページをご覧ください。

自然保護センターにおけるヤシャゲンゴロウの飼育

自然保護センターは平成26年より分散飼育施設に指定され、簡便な飼育法の確立や生態の解明も目的として人工飼育が始まりました。

 

 平成26年6月、「ヤシャゲンゴロウを育てる会」の飼育施設から幼虫21匹を譲り受けました。飼育初年度であるこの年は幼虫を蛹、成虫へと育てることを目標に飼育を行いました。日頃から傷ついた野生動物の救護に慣れているセンター職員にとっても水生昆虫を飼育することは初めての経験で、試行錯誤の日々が続きました。
 結果、21匹の幼虫のうち16匹を蛹化させ、15匹の羽化を成功させることができました。エサとなるミジンコの確保の重要性とその難しさを実感させられました。

ヤシャゲンゴロウの幼虫

ミジンコを食べる幼虫。首が長くスマートで成虫には似ても似つかぬ姿です。

ミジンコを生産

タライに田んぼの土と水を入れミジンコを発生させます。常にミジンコを一定量維持することは至難の業!

岸辺の環境を模した上陸用水槽

体長3cmほどの終齢幼虫まで大きく育ったので岸辺の環境を模した上陸用水槽に移し、蛹化準備完了です。

蛹になろうと上陸したヤシャゲンゴロウ

蛹になろうと上陸してきました。

土を固めて繭(蛹室)を作るヤシャゲンゴロウ

お気に入りの場所を見つけた幼虫は土を固めて繭(蛹室)を作っていきます。

繭が完成

数時間がかりで繭が完成しました。

約3週間後に羽化

約三週間後、大変身し元気に泳ぐ姿を見せてくれました!

成虫が抜けだした後の繭

成虫が抜けだした後の繭。中には抜け殻が残っています。

 

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今後は初年度の経験を活かし、成虫の交尾と産卵、孵化を成功させ人工飼育技術の確立を目指します。